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医療コラム COLUMN

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い5つ。それぞれの特徴・メリット・注意点も

 「目立たない矯正装置」と人気を集めているマウスピース矯正ですが「やってよかった」と喜ぶ声がある一方、「失敗した」「後悔している」という声を目にすることもあります。


そもそもマウスピース矯正はワイヤー矯正よりも適応範囲が狭いので、適応ケースを見極める必要があります。さらに本来の効果を得るには患者さんの自己管理がワイヤー矯正以上に求められます。


「マウスピース矯正=手軽=簡単に治る」という間違った印象が広がったことがトラブルの要因の一つになっていることは否定できません。


本記事では、マウスピース矯正で失敗したと感じてしまう主なケースを6つ挙げ、その原因と失敗を未然に防ぐためのポイントを解説します。


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マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い

マウスピース矯正とワイヤー矯正は、どちらも歯並びを美しく整えるための治療法ですが、そのアプローチや装置の仕組み、生活への影響には大きな違いがあります。


どちらを選ぶべきかを賢く判断するために、まずは2つの治療法の主な違いを5つの重要な観点から詳しく比較していきましょう。


矯正器具の見た目

見た目の違いは、両者の最も顕著な差と言えます。


マウスピース矯正は、透明な医療用プラスチック製の装置を歯全体に被せるため、装着していても周囲の人にほとんど気づかれません。接客業や営業職など、人前で話す機会が多い方でも、見た目のストレスなく治療を続けられるのが大きな特徴です。


一方、従来のワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる土台を固定し、そこに金属製のワイヤーを通すため、口を開けたときに装置が目立ってしまいます。


ただし最近のワイヤー矯正では、白いセラミック製のブラケット、白いワイヤーを使用する「目立ちにくいワイヤー矯正」や、歯の裏側に装置をつける「裏側矯正(舌側矯正)」という診療方法を導入する歯科医院も増えており、見た目のデメリットを軽減する選択肢も用意されています。 

マウスピース矯正とワイヤー矯正の模型写真


痛みや違和感

矯正治療における痛みや違和感の現れ方にも違いがあります。


マウスピース矯正は、1枚の装置で動かす歯の移動量が約0.25mm程度と非常に微細に計算されており、一定の弱い圧力をじわじわとかけ続けるため、比較的痛みが少ない治療法とされています。


新しい装置に交換した直後の数日間に違和感や軽い痛みを感じることはありますが、生活に支障が出るほどの激痛になるケースは稀です。


※マウスピース矯正中の痛みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

マウスピース矯正は痛い?痛い原因と対処法、ワイヤー矯正との違いを解説



一方、ワイヤー矯正は、歯科医師が月に1回程度のペースで通院時にワイヤーを調整し、比較的強い力をかけて一気に歯を動かします。


そのため、調整直後からの数日間は強い痛みや引っ張られるような違和感を覚えやすく、食事の際に食べ物を噛むのが困難になることもあります。


また、ワイヤーやブラケットの金属部分がお口の中の粘膜や歯茎に擦れることで、口内炎ができやすいという点もワイヤー矯正独自の不快感の原因となります。


※ワイヤー矯正中の痛みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

ワイヤー矯正は痛い?痛みを感じるシーンや対処法を歯科医師が解説


適応症例

どちらの方法で治療ができるかは、患者さんの歯並びのガタガタの度合いや骨格の状態(適応症例)によって大きく左右されます。


ワイヤー矯正は古くから広く行われている治療方法であり、軽度の乱れから、大幅に歯を移動させる必要がある重度の不正咬合、激しい出っ歯、受け口、抜歯を伴う複雑な症例まで、幅広い症例に対応できます。


これに対してマウスピース矯正は、歯の根元を大きく平行移動させるような症例や、顎の骨格自体に大きな問題がある深刻なケースでは、マウスピース単独での治療が難しい場合があります。


症例によっては、最初はワイヤー矯正で大きく歯を動かし、仕上げの段階でマウスピース矯正を使用するといったハイブリッドな治療方法が選択されることもあります。 


治療期間

治療にかかる時間や期間についても、症例によって異なるものの一般的な傾向が異なります。


ワイヤー矯正は装置が歯に完全に固定されており、24時間絶え間なく力が加わり続けるため、歯の移動がスムーズに進みやすいという特徴があります。一般的な全体矯正の期間は1年半〜3年程度です。


これに対し、マウスピース矯正も全体的な治療期間の目安としては1年半〜3年程度と大きな差はありませんが、その成果は「患者さんが毎日20時間〜22時間以上装着しているか」という自己管理の状況に依存します。


もし装着時間を守れなかったり、装置の交換スケジュールを怠ったりすると、歯が計画通りに動かず、治療期間が想像以上に長引いてしまうリスクがあります。


ただし、前歯だけの部分矯正であれば、どちらの方法でも数ヶ月〜1年程度の短い期間で完了するケースが多いです。 


治療費用

マウスピース矯正とワイヤー矯正はどちらも原則として公的医療保険が適用されない自由診療となるため、費用は歯科医院が独自に設定しており、金額には幅があります。


一般的な相場として、全体矯正を行う場合、マウスピース矯正・ワイヤー矯正(表側矯正)どちらも80万〜100万円程度となり、基本料金自体にはそれほど大きな差はありません。


しかし、ワイヤー矯正で目立たないホワイトワイヤーや裏側矯正(舌側矯正)を選択した場合、技術的な難易度が上がるため、総額費用が100万〜150万円程度に高くなる傾向があります。


また、ワイヤー矯正では毎回の通院・調整時に「処置料(調整代)」として3,000円〜1万円程度が都度必要になる医院が多く、通院回数が増えるほど総額がかさむ可能性があります。


マウスピース矯正とは

マウスピース矯正の仕組みや、ワイヤー矯正と比較した際の明確なメリット・注意点について深く掘り下げていきましょう。デジタル技術を駆使したこの治療法には、現代のライフスタイルにマッチする多くの特徴があります。 


マウスピース矯正の特徴

マウスピース矯正とは、患者さん一人ひとりのお口の形に合わせてカスタムメイドされた、透明で薄い医療用プラスチック製のマウスピース型装置(アライナー)を順次交換していくことで、少しずつ歯並びを整える治療方法です。


治療開始前に3D光学スキャナーを用いてデジタルでお口の中をサンプリングし、コンピューターシミュレーションによって、治療開始から完了に至るまでの歯の移動計画を精密に可視化します。


従来のワイヤー矯正のように金属の器具を長期間固定するのとは根本的に異なる、21世紀のデジタルテクノロジーを結集した新しい歯科診療スタイルです。 


マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正の最大のメリットは、何と言っても「目立たないこと」と「自由に取り外しができること」です。装着していても周囲に気づかれないため、見た目のストレスがほとんどありません。


また、食事の際には装置を完全に取り外すことができるため、お肉や粘着性のある食べ物など、ワイヤー矯正では器具に絡まりやすい食べ物も普段通りに楽しむことができます。


さらに、食後の歯磨きの際にも取り外せるため、普段と同じようにフロスやブラッシングができ、お口の中を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを低く抑えられます。


金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がある患者さんでも安心して治療を進められる点や、装置が粘膜を傷つけることが少ないため、痛みが非常にマイルドである点も大きなメリットです。 


マウスピース矯正の注意点

多くのメリットを持つマウスピース矯正ですが、その効果を発揮するためには、患者さんの高い自己管理能力が必要不可欠であるという重大な注意点があります。


装置は1日20時間〜22時間以上装着することが義務付けられており、食事と歯磨きの時間以外はほぼ常に着用していなければなりません。


「面倒だから」「少し痛いから」といって外している時間が長くなると、歯は計画通りに動かないばかりか、元の位置に戻ろうとする「後戻り」を起こし、治療が大幅に遅れる原因になります。


また、食後に歯磨きをしないまま装置を再装着してしまうと、マウスピースの密閉空間の中で細菌が繁殖し、かえって虫歯リスクを高めてしまうため、出先でもこまめなケアが必要です。


さらに、先述の通りすべての症例に対応できるわけではないため、事前の適応診断が非常に重要となります。


ワイヤー矯正とは

長年の実績を誇るワイヤー矯正の仕組みや、マウスピース矯正にはない独自のメリット・注意点について解説します。伝統的な手法だからこその強みを理解しておきましょう。


ワイヤー矯正の特徴

ワイヤー矯正とは、歯の表面(または裏側)に「ブラケット」と呼ばれる小さなボタンのような固定式の装置を歯科専用の接着剤で貼り付け、そこに金属製の細いワイヤーを通し、ワイヤーが元の形に戻ろうとする弾性を利用して歯を少しずつ動かす伝統的な矯正治療方法です。


数多くの症例と長い治療の歴史に裏付けられた信頼性の高いアナログな手法であり、現在でも世界中の歯科医院で標準的な治療として広く行われています。


数週間〜1ヶ月に一度の頻度で歯科医院に通院し、歯科医師の手によってワイヤーの太さを変えたり、ゴムを掛け換えたりしながら、ミリ単位で歯の動きをコントロールしていきます。 


ワイヤー矯正のメリット

ワイヤー矯正の最も強力なメリットは、その「適応範囲の広さ」と「確実性」にあります。


歯を大きく動かす必要がある重度のガタガタ(叢生)や、出っ歯、受け口、さらには顎の骨のコントロールを伴う抜歯症例に至るまで、ほぼすべての複雑な歯並びに対応することができます。


また、装置が歯科医師によって完全に歯に固定されているため、マウスピース矯正のように「自分で毎日何時間も装着を管理する」必要が一切ありません。


患者さんがサボってしまって治療が進まないというトラブルが起こり得ないため、自己管理が苦手な方や、不規則な生活を送っていて装置の着脱管理が難しい方でも、通院さえ怠らなければ治療をスムーズに進めることができるという大きな強みを持っています。 


ワイヤー矯正の注意点

ワイヤー矯正における最大の注意点は、やはり「見た目」と「生活上の制限・身体的ストレス」です。歯の表側に金属製の装置をつける場合、笑ったときに器具が大きく目立ってしまいます。


これを避けるために目立たない材料や裏側矯正を選ぶと、今度は費用が高額になるというデメリットが生じます。


また、装置を取り外すことができないため、食事が器具に挟まりやすく、繊維質の野菜や粘着性のあるお餅、硬い食べ物は避けるか小さく切って食べるなどの工夫が必要です。


器具の周りは非常に汚れが溜まりやすく、専用の歯間ブラシなどを駆使して時間をかけて歯磨きをしなければ、虫歯や歯周病のリスクが急激に高まってしまいます。


さらに、調整直後の数日間に伴う強い痛みや、金属が粘膜に当たって口内炎ができやすいといったストレスも、事前に把握しておくべき注意点です。


マウスピース矯正とワイヤー矯正には、それぞれに異なる魅力と注意すべきポイントが存在します。


どちらの方法が一方的に優れているというわけではなく、患者さんご自身のライフスタイルや、現在の歯並び・骨格の状態によって、どちらが最適な選択肢となるかは大きく変わってきます。


マウスピース矯正かワイヤー矯正かで迷っている方は、神戸市須磨区ののぶ歯科・歯ならび歯科にご相談ください

神戸市須磨区に位置する「のぶ歯科・歯ならび歯科」では、患者さんの「目立たずに治したい」「自己管理に自信がないけれど確実に歯並びを改善したい」といったご要望やお悩みをじっくりと伺った上で、お口全体の精密な診察を行い、どちらの治療法が適しているかをプロの視点から誠実にご提案します。


当院ではマウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらの診療にも対応しているため、偏りのない客観的な診断が可能です。


参加無料の矯正相談会も定期的に実施しています。費用や期間、見た目の不安など、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせの上、当院の相談会へお越しください。


あなたに合う治療法を一緒に見つけましょう。


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<この記事を監修した人>

歯科医師 丸橋伸行
のぶ歯科・歯ならび歯科の院長

2006年の開院以来、「歯がボロボロな方」を16,000人以上(2006年4月〜2024年12月実績)診療してきた豊富な経験と実績を持つ。 日本障害者歯科学会、日本臨床歯科CADCAM学会、日本デジタル矯正歯科学会、IDIA(国際口腔インプラント学会)に所属。 正確な診査・診断を徹底し、見た目の美しさだけでなく機能性や将来を見据えた、患者様に本当に適した治療を追求。矯正にも精通しており、幅広い専門知識と長年の経験に基づいた信頼性の高い情報を分かりやすく発信します。