小児矯正は医療費控除の対象となる?還付金の計算方法や申請方法を解説|のぶ歯科・歯ならび歯科|神戸市板宿駅の歯医者

医療コラム COLUMN

<この記事を監修した人>

歯科医師 丸橋伸行
のぶ歯科・歯ならび歯科の院長

2006年の開院以来、「歯がボロボロな方」を16,000人以上(2006年4月〜2024年12月実績)診療してきた豊富な経験と実績を持つ。 日本障害者歯科学会、日本臨床歯科CADCAM学会、日本デジタル矯正歯科学会、IDIA(国際口腔インプラント学会)に所属。 正確な診査・診断を徹底し、見た目の美しさだけでなく機能性や将来を見据えた、患者様に本当に適した治療を追求。矯正にも精通しており、幅広い専門知識と長年の経験に基づいた信頼性の高い情報を分かりやすく発信します。

小児矯正は医療費控除の対象となる?還付金の計算方法や申請方法を解説

小児矯正、とくにワイヤー矯正は、お子さんの歯並びや噛み合わせを整え、将来の口腔トラブルを防ぐために行われる大切な治療です。


一方で、保険が使えない自由診療であることから、費用面に不安を感じる保護者の方も少なくありません。


実は、小児矯正の費用は、治療の目的や内容によっては医療費控除の対象となり、確定申告を行うことで税金が戻ってくる場合があります。


本記事では、小児矯正が医療費控除の対象となるケースや対象外となるケース、還付金の目安や申請方法まで、わかりやすく解説します。


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小児矯正の費用については、こちらの記事で詳しく説明しています>



そもそも医療費控除とは

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得から差し引くことができる制度です。


対象となるのは本人だけでなく、同じ家計で暮らす家族の医療費も合算できます。


医療費控除額は、「年間の医療費合計 − 保険金などで補てんされた金額 − 10万円(または所得の5%)」で計算します。


所得が200万円未満の場合は、10万円の代わりに「所得の5%」を使います。控除の上限額は200万円です。


この控除によって課税所得が減るため、所得税が軽減され、翌年の住民税も下がります。


小児矯正は自由診療ですが、治療目的によっては医療費控除の対象となることがあります。



小児矯正は医療費控除の対象となる?

小児矯正が医療費控除の対象になるかどうかは、「治療の目的」が医療か美容かによって判断されます。


特にワイヤー矯正は噛み合わせや顎の成長を改善する要素が大きいため、医療目的と認められやすい治療です。



医療費控除が適用される症例
次のような「機能改善」が主目的の場合、医療費控除の対象となりやすくなります。

・出っ歯、受け口、交叉咬合、開咬などで噛めない

・噛み合わせの異常が原因で顎の成長に問題が出ている

・発音に影響がある

・歯並びの問題で清掃性が悪く、虫歯や歯周病のリスクが高い

・顎関節への負担が大きい噛み合わせと診断された

・成長期の顎の発育を正しく誘導する必要があるⅠ期治療

これらはすべて「医療目的」で行う治療と判断されるため、ワイヤー矯正の費用も医療費控除の対象になる可能性があります。

中学生・高校生でも、機能的な問題を伴う不正咬合であれば対象になるケースがあります。


医療費控除が適用されない症例
一方、以下のように審美目的のみの治療は対象外です。

・噛み合わせに問題がなく、見た目だけを整えるための矯正

・美しさを追求した微調整のみの矯正

・審美ブラケットやホワイトワイヤーなど、見た目の追加料金部分

このように、同じワイヤー矯正でも、目的が「機能改善かどうか」で大きく判断が分かれます。


小児矯正で医療費控除の対象となる費用は?

小児矯正が医療費控除の対象になるかどうかは、「治療の目的」が医療か美容かによって判断されます。


特にワイヤー矯正は噛み合わせや顎の成長を改善する要素が大きいため、医療目的と認められやすい治療です。


医療費控除の対象となる費用

機能改善が主目的の小児矯正のうち、具体的には以下の費用が医療費控除の対象になります。

・初診料、再診料

・レントゲン、セファロ分析、模型採取、口腔内写真などの検査費用

・ワイヤー矯正の装置料(ブラケット、ワイヤー、バンドなど)

・Ⅰ期治療の拡大装置や機能的装置の費用

・毎回の調整料(ワイヤー交換・屈曲・調整など)

・保定装置(リテーナー)および調整費

・通院の電車・バスなどの交通費(付き添いの家族の分も対象になる場合あり)

・医師の指示で購入した薬や医療材料


特に交通費は忘れられがちですが、多くの場合対象になります。領収書が出ない場合でも、日付や区間、料金を記録しておけば申告できます。


医療費控除の対象とならない費用

医療目的で行う治療にかかった費用でも、以下の項目は、医療費控除の対象となりません。

・自家用車のガソリン代、駐車場代、高速代

・子どもが受診していない日の保護者の交通費

・審美目的のオプション(ホワイトワイヤー、審美ブラケットの追加料金など)

・歯ブラシ、フロス、洗口液など市販の予防用品

・医療ローンの金利や分割手数料

・通院中の外食や飲み物など


治療に不可欠でない費用、見た目を良くするためだけの費用は対象になりません。


小児矯正の医療費控除で戻ってくる還付金

小児矯正が医療費控除の対象となった場合、「実際にいくら戻ってくるのか」は多くの方が気になるポイントです。

医療費控除は、支払った医療費の一部がそのまま返金される制度ではなく、所得税や住民税が軽減される仕組みであるため、還付額は家庭の所得や税率によって異なります。

医療費控除の計算は、基本的に「1年間に支払った医療費の合計額」から「保険金などで補てんされた金額」を引き、さらに「10万円(または所得の5%)」を差し引いて算出します。

この差し引いた金額が「医療費控除額」となり、その分だけ課税所得が減ります。


所得が200万円未満の場合

たとえば、合計所得が200万円未満のご家庭では、差し引く金額が「10万円」ではなく「所得の5%」になります。


仮に所得が180万円で、1年間にワイヤー矯正の装置料・調整料・通院交通費などを含めて40万円の医療費を支払った場合、所得の5%である9万円を差し引き、31万円が医療費控除額となります。


所得税率が5%の場合、約1万5千円程度が所得税として戻り、さらに翌年の住民税も軽減されます。


・所得:180万円

・医療費合計(ワイヤー矯正の装置料・調整料・交通費など):40万円


差し引く金額は「所得の5%」なので、

180万円 × 5% = 9万円


医療費控除額は、

40万円 − 9万円 = 31万円


所得税率が5%であれば、

31万円 × 5% = 約1万5千円


ほど所得税が戻り、翌年の住民税も軽減されます。



所得が200万円以上の場合

合計所得が200万円以上の場合は、一律で10万円を差し引きます。


たとえば、所得600万円で医療費が60万円の場合、医療費控除額は50万円となります。


所得税率が20%の方であれば、約10万円が所得税として軽減され、こちらも翌年の住民税が下がります。


・所得:600万円

・医療費合計:60万円


差し引く金額は10万円のため、

60万円 − 10万円 = 50万円


所得税率が20%なら、

50万円 × 20% = 約10万円


が還付されます。


このように、小児矯正の費用が高額になるほど、医療費控除によるメリットは大きくなります。


事前に還付の目安を知っておくことで、矯正治療にかかる実質的な負担を把握しやすくなります。



計算式・例

医療費控除額=(医療費合計 − 保険金など) −(10万円または所得の5%)


控除された金額に所得税率をかけることで、戻る金額の目安が計算できます。


小児矯正の医療費控除を申請する方法

小児矯正で医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。初めて申請する方でも迷わないよう、流れを順を追って説明します。


必要書類を準備する
まず最初に行うのが、必要書類の準備です。

用意する主なものは、医療費控除の明細書、源泉徴収票(会社員の方)、マイナンバーカードまたは本人確認書類、還付金を受け取るための銀行口座情報です。

また、健康保険組合などから送られてくる医療費通知があれば、明細書作成の参考になります。

矯正治療の領収書は提出不要ですが、後日の確認に備えて5年間保管する義務があります。

・医療費控除の明細書

・源泉徴収票

・マイナンバーカードまたは本人確認書類

・還付金の振込先口座

・医療費通知(健康保険組合から届くもの)


医療費控除の明細書を作成する
次に、医療費控除の明細書を作成します。

この明細書には、「医療を受けた人の氏名」「支払った医療機関の名称」「その年に支払った医療費の合計額」などを記載します。

小児矯正の場合、検査・診断料、ワイヤー矯正の装置料、毎回の調整料、保定装置の費用、通院時の交通費などを整理して合算します。

・検査・診断料

・装置料

・調整料

・保定装置の費用

・交通費


注意したいのは、医療ローンを利用している場合です。この場合、契約した総額ではなく、その年に実際に支払った金額のみが医療費控除の対象となります。

また、交通費については、電車やバスなど公共交通機関を利用した場合に限り対象となります。

領収書が出ない場合でも、通院日・区間・金額をメモしておけば申告可能です。

確定申告書を作成する
明細書が完成したら、確定申告書を作成します。

現在は、パソコンやスマートフォンから申告書を作成できる仕組みが整っており、画面の案内に沿って入力するだけで手続きが進められます。

医療費控除を選択し、先ほど作成した明細書の内容を転記します。

なお、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」は同時に利用できないため、どちらか一方を選ぶ必要があります。

小児矯正を含む高額な医療費がある場合は、通常の医療費控除を選ぶ方が有利になることがほとんどです。

確定申告書を提出する
申告書の作成が終わったら、提出します。提出方法は、オンラインでの送信、郵送、税務署窓口への持参のいずれかです。

還付申告の場合、通常の確定申告期間を待たずに手続きでき、過去5年分までさかのぼって申告することも可能です。

以前からお子さんのワイヤー矯正を行っていて、医療費控除を申請していなかった場合でも、期間内であれば還付を受けられる可能性があります。

医療費控除は手続きが難しそうに感じられがちですが、流れを理解して準備を整えれば、決して複雑なものではありません。

小児矯正の費用負担を軽減するためにも、忘れずに申請することをおすすめします。

小児矯正を検討している方は、神戸市須磨区ののぶ歯科・歯ならび歯科にご相談ください

小児矯正、とくにワイヤー矯正は、お子さんの将来の口元の健康に関わる大切な治療です。


しかし、費用や医療費控除の仕組みがわかりにくく、判断に迷うご家庭も多くあります。


神戸市須磨区の「のぶ歯科・歯ならび歯科」では、お子さんの成長に合わせて最適な治療方法をご提案し、医療費控除の対象になりそうかどうかも丁寧にご説明しています。


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迷っている方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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