ワイヤー矯正は痛い?痛みを感じるシーンや対処法を歯科医師が解説します|のぶ歯科・歯ならび歯科|神戸市板宿駅の歯医者

医療コラム COLUMN

<この記事を監修した人>

歯科医師 丸橋伸行
のぶ歯科・歯ならび歯科の院長

2006年の開院以来、「歯がボロボロな方」を16,000人以上(2006年4月〜2024年12月実績)診療してきた豊富な経験と実績を持つ。 日本障害者歯科学会、日本臨床歯科CADCAM学会、日本デジタル矯正歯科学会、IDIA(国際口腔インプラント学会)に所属。 正確な診査・診断を徹底し、見た目の美しさだけでなく機能性や将来を見据えた、患者様に本当に適した治療を追求。矯正にも精通しており、幅広い専門知識と長年の経験に基づいた信頼性の高い情報を分かりやすく発信します。

ワイヤー矯正は痛い?痛みを感じるシーンや対処法を歯科医師が解説します

「ワイヤー矯正=痛い」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。


確かに、ワイヤー矯正では装置を装着したり歯を動かしたりする過程で痛みや違和感を感じることがあります。


しかし、痛みには“いつ”“なぜ”起きるかパターンがあり、適切な対処を知っておくだけで安心して治療に臨めます。


この記事では、ワイヤー矯正で痛みを感じる主な理由、痛みが出やすいタイミング、どれくらい続くか、そして痛みを和らげる具体的な方法を、歯科医師の視点から分かりやすく解説します。


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ワイヤー矯正の期間について、こちらの記事で解説しています>


ワイヤー矯正が痛いと感じる理由

ワイヤー矯正では、「なぜ痛みを感じるのか」を理解しておくことが、治療への不安を軽くする第一歩です。


以下に、主な理由を3つに分けて整理します。


矯正器具が口内に当たって痛い

ワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットという金属(またはセラミック)製の装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を移動させるシステムです。 


この装置が、唇の裏側・頬の内側・舌など粘膜と接触している場合、装置の角が当たる・ワイヤーの端が突出してくる・新しい装置に口内が慣れていないということで、痛みや口内炎を引き起こすことがあります。 


とくに矯正開始直後・ワイヤーを調整した直後など、装置の状態が変わったタイミングでは、口内の摩擦や傷による痛みが強く出やすいです。 


また、装置が当たることで「ひりひり」「チクチク」「こすれる」ような感覚が出るため、「装置をつけただけで痛い」と感じる方も珍しくありません。


歯が移動して痛い

矯正治療の本質は「歯を動かすこと」です。歯根膜と歯槽骨という歯を支える組織に、ワイヤーを通じて持続的な力をかけ、骨を少しずつ溶かし(吸収)、反対側には新たに骨を形成(再生)して歯を動かしていきます。 


この過程で、歯根膜が押される・引っ張られる・骨が微量に変化するという刺激が生じ、これが「歯が動いている」「噛んだら違和感がある」といった痛みにつながります。 


たとえば、ワイヤーを調整して新たな力が加わった直後には、歯が浮いているような感覚や、固いものを噛むと響くような痛みを感じることがあります。 


このように歯そのものに働きかける力が、痛みを引き起こす大きな要因の一つです。


食べ物を噛むと痛い

歯が動いているときや装置装着直後、歯や歯茎が少し敏感になっています。


咀嚼(そしゃく)によって歯に力が加わると、歯根膜や近隣の歯槽骨・歯肉に余計な刺激が加わり、痛みを感じやすくなります。 


特に硬いものを噛んだとき、噛みしめたとき、繊維質で装置に引っかかりやすいものを噛んだときなどにはその刺激が強くなり、痛みが増す傾向があります。 


また、噛む回数が多かったり、咀嚼による横方向の力が加わると、矯正装置自体に余分な負担がかかったり、ワイヤーが少し浮いたりして痛みを増すこともあります。


これらの理由から、矯正中は「何を」「どのように」食べるかに少し気を配ることが大切です。


以上のように、ワイヤー矯正における痛みには「装置そのもの」「歯の移動」「食事・咀嚼」という3つの主な原因が絡んでいます。


これらを理解しておくだけで、「なぜ今違和感や痛みが出ているのか」が分かり、少し安心して治療に臨めるようになります。


ワイヤー矯正で痛いと感じるタイミング

次に、具体的に「いつ」「どのような状況」で痛みを感じやすいかを整理します。


痛みにはタイミングがあり、これを把握しておくことで「こういう時に気を付けよう」という準備ができます。


初めて矯正器具をつける時

矯正治療を開始し、ブラケットを歯に接着しワイヤーを通した直後は、「異物感」「圧迫感」「口内の変化による違和感」が最初に生じるタイミングです。 


具体的には、装着直後から数時間以内に「舌が装置に当たる」「頬の内側が擦れてヒリヒリする」「話しにくい」「噛みづらい」といった症状が出る方が多いです。 


また、装置を装着した日の夜〜翌日には、歯がじわじわと動き始める過程で「噛むと痛い」「歯が浮いた感じがする」などの症状が出ることもあります。 


この時期は、口内の粘膜が装置に慣れるまでの期間なので、口腔ケアや食事に配慮することで不快感を和らげることができます。


矯正装置を調整する時

治療の途中、定期的に来院してワイヤーを交換したり、ワイヤーのテンションを上げたり、ブラケットを再調整したりするタイミングがあります。


この「調整直後」こそ、痛みを感じやすい局面です。 


調整直後は、再び新しい力が歯にかかるため、歯の移動が始まる過程で圧迫感・ジンジンする痛み・噛むと響く痛みが出る方が多いです。


一般的には当日〜翌日がピークとなり、2〜3日、長くても1週間前後で収まる傾向があります。 


この時期は、「歯が動いている」サインとも言えますが、日常生活(食事/歯磨き/会話)に支障を来すほどの痛みを感じる場合には、通院先でワイヤーの緩みや調整過多などがないかチェックしてもらうことが大切です。 


歯が大きく動く時

矯正治療には、「歯を本格的に移動させる時期」があります。


たとえば抜歯した隙間を閉じる時期、大きく歯列を動かす時期、装置変更で強めのワイヤーを入れた時期などです。


こうした“力が大きくかかる”時期には、普段よりも痛みが出やすくなります。 


歯が骨内で動く時、骨の吸収・再生が活発に起き、歯根膜がより強く刺激を受けるため「歯を押されている」「歯が浮いている」「噛むと鈍い痛みがする」といった感覚が増大します。 


このような時期には、患者さんご自身も「いつもより痛い」「硬いものが噛みにくい」と感じることが多いため、食事内容のコントロールや装置ケアを少し慎重に行うことが望まれます。


食事の時

前述の通り、食事中・噛む時には歯に負荷がかかるため、矯正器具による歯の移動中は痛みを感じやすい場面です。


特に、調整直後〜2、3日間、あるいは歯が大きく動いている時期には、「硬いものを噛む」「繊維質のものを噛む」「噛みしめる/歯ぎしりがある」「装置に食べ物が引っかかる」といった行為が痛みを誘発・増強します。 


硬いせんべい、りんご丸かじり、ガム、キャラメルなど粘着・歯列に挟まりやすい食品は特にリスクが高く、痛みや装置トラブル(ワイヤーが浮いた/ブラケットが外れた)を引き起こすことがあります。 


したがって、痛みを感じ始めたときや調整直後には、柔らかめの食事・一口サイズに切る・繊維質・粘着質を避けるという工夫が有効です。


歯磨きの時

意外と見落としがちですが、歯磨き時も痛みを感じる一因になります。


装置を装着したばかりの時期や調整直後は、ブラケット・ワイヤーの周囲の歯肉・粘膜・歯根膜などが敏感な状態になっており、歯ブラシの毛先が当たったときに「ズキッ」「ヒリッ」とすることがあります。 


痛いからといって歯磨きを怠ると、汚れが溜まり、歯肉炎・虫歯・口内炎などのトラブルに発展し、結果的に痛みが長引く可能性もあります。 


そのため、歯磨きの回数や方法(例えば:やわらかめのブラシ/マウスウォッシュ併用/ワイヤーの周辺を丁寧に)を工夫すると良いでしょう。


以上が、ワイヤー矯正で「痛いと感じやすい」主なタイミングです。


治療中に「なんとなく具合が悪い」「違和感がある」という時点で、これらのタイミングを思い出していただけると、「慣れる痛みか」「要注意の痛みか」の判断材料になります。


ワイヤー矯正の痛みはいつまで続く?

 ワイヤー矯正の痛みは、ずっと続くものではなく“波”として現れます。


一般的には、装置を装着した直後・ワイヤーを調整した直後では、装着後数時間〜翌日あたりから痛みが始まり、2〜3日をピークとし、1週間ほどで日常生活に支障ないレベルに軽減する傾向があります。 


その後は、矯正治療全体にわたって常に激痛が続くわけではありません。


次回の調整時や大きな移動をする時期に再び違和感・痛みを感じることがありますが、頻度・強度ともに初期よりは軽くなることが多いです。 


もし1週間以上たっても“噛むたびに痛む”“装置が当たってずっとヒリヒリする”という状態が続く場合には、装置の不具合や口内炎の慢性化、虫歯・歯周炎の併発などが考えられるため、担当歯科医院へご相談ください。


ワイヤー矯正の痛みを和らげる方法

 痛みをゼロにすることは難しいですが、以下の対処法を知っておくことで「痛みが出てもあわてない」「日常生活に支障を出さない」よう準備できます。


鎮痛剤を服用する

痛みが強く、「食事がとれない」「眠れない」「会話がつらい」といった状況の場合には、市販の鎮痛剤を一定期間使用することも選択肢です。


多くの矯正歯科では「必要最小限での使用」を推奨しています。 


ただし注意点として、矯正治療では歯を動かすために“骨の吸収・再生”という生理的な反応を利用しています。


鎮痛剤には抗炎症作用があるものもあり、使いすぎると歯の移動が鈍くなる可能性が指摘されています。 


したがって、服用前には担当歯科医や薬剤師に相談し、「いつ・どれくらい」「どの成分か」を確認してから使うようにしましょう。


痛い箇所を冷やす

痛みを感じるときには、患部を冷やすことで血流を少し落ち着かせて痛みを和らげる方法があります。


たとえば、冷たいタオルや保冷剤を頬の外側から当てるなどが紹介されています。 


ただし、冷やしすぎる(長時間・直接氷を当てるなど)と歯の移動を妨げる可能性があるため、タオルで包んで数分間当てる程度がおすすめです。 


また逆に、血行を促す(温める)ことで違和感を軽減する、という見解もありますので、冷やす・温めるどちらがご自身に合うかを、少しずつ試してみてください。


矯正用ワックスを使う

装置が粘膜に当たって痛い場合、いわゆる矯正用ワックス(粘着性の保護素材)を使って、ブラケット・ワイヤーの当たる部分をカバーすることで、痛みを軽減できます。 


使用方法としては、装置や粘膜の界面を清潔・乾燥させたうえで、ワックスを小さくちぎって丸め、痛い箇所の装置に貼り付けます。


ワックスは食事・歯磨きのたびに外れやすいので、こまめに貼り直すと効果的です。 


これにより、「装置で頬を切った」「舌がワイヤーに当たって痛い」といった不快感を大きく和らげることができます。


ワイヤーを調整してもらう

痛みが長引いたり、「装置が当たっている」「ワイヤーが飛び出している」「装置に緩みがある」など装置トラブルの疑いがある時には、自己判断せずにかかりつけの矯正歯科を受診してください。 


歯科医師・矯正歯科医師は、ワイヤーのテンションやブラケットの位置、ワイヤーの端の処理状態などを確認し、必要であれば修正・カット・ワイヤー交換を行います。


痛みが“装置トラブル”である可能性もあります。早めに相談することで症状の長期化を防げます。


硬い食べ物を避ける

矯正治療中、特に調整直後や歯が動き始めている時期には、硬さ・繊維・粘着性のある食べ物が痛みを誘発しやすくなります。 


おすすめの工夫として


  • 柔らかい食材(おかゆ、ポタージュ、うどん、薄切り肉、豆腐)を選ぶ

  • 食材を細かく切る・噛む回数を減らす

  • 繊維質・粘着性(ガム・キャラメル・繊維の長い野菜)を避ける

  • 飲み込みやすい/噛みにくさを減らす調理(煮込み・マッシュ)をする

といった対応があります。

これにより、「噛むと痛い」「歯に力が加わって痛い」という状況を和らげ、矯正中でもストレスの少ない食生活を維持できます。


日頃の口腔ケア・生活習慣をしっかりと行う

痛みを軽くしておくためには、日々のケアや習慣も重要です。装置装着中は次のような点に気を付けましょう。


  • 歯磨きを丁寧に。痛いからと言って磨かないと、歯肉炎・虫歯・口内炎が起きて痛みが長引くことがあります。

  • 歯ブラシはやわらかめを使い、ワイヤー周辺はタフトブラシ等で丁寧に。

  • 歯ぎしり・食いしばりがある方はナイトガード検討、力のかかり過ぎを避ける。

  • 睡眠・ストレス・栄養状態を整え、痛みを感じやすい体の状態を避ける。痛みの感じ方には個人差があり、疲れていたり睡眠不足だと痛みを強く感じがちです。
  • 定期的に矯正担当歯科を受診し、装置のチェックを受ける(当たり・ワイヤーの突出・ブラケットの剥がれなど)。

 

ワイヤー矯正の痛みに不安がある方は、神戸市須磨区ののぶ歯科・歯ならび歯科にご相談ください

のぶ歯科・歯ならび歯科では、ワイヤー矯正を検討されている方、装置装着前・矯正途中で痛みや違和感が気になる方、そして術前・術中のご不安をしっかり伺いながら、安心して治療を受けていただけるよう無料の矯正相談会も実施しております。


痛みがどれくらい出るのか、どのようなタイミングで起きるのか、どんな対処ができるのかを専門の矯正歯科医・歯科衛生士が丁寧にご説明いたします。


お口の中の状態やライフスタイルに応じて、ワイヤー矯正・マウスピース矯正など複数の選択肢を分かりやすくご案内しています。


矯正治療に対して「痛みが心配」「始めるタイミングが分からない」という方も、お気軽にご相談ください。


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