子どもの歯並びや噛み合わせに不安を感じる保護者の方に注目されているのが「プレオルソ」です。マウスピース型の矯正装置で、成長期の子どもの顎の発育を活かしながら歯列を整えることができるため、負担が少なく、将来的な矯正治療のリスク軽減も期待できます。
のぶ歯科・歯ならび歯科は開業以来16000人以上の歯がボロボロの大人を診療する中で、成長期の発育がうまくいかなかったため、大人になってから歯がボロボロになった人が多くいることに気づきました。
本記事では、その経験をもとにプレオルソの特徴や効果、メリット・デメリット、適応症例について詳しく解説します。
そもそもプレオルソとは
成長期の子どもにおいて『歯ならびが悪い』あるいは『噛み合わせに問題がある』原因の一つに、唇・舌の悪習癖が挙げられます。悪習癖とは、唇を巻き込む癖、ポカンと口が開く癖、舌突出癖などです。
悪習癖は歯ならびに悪影響を及ぼします。例えば唇を巻き込む癖があると、前歯が内側に傾斜し、その隣の歯も押し出されるように傾斜して歯ならびが悪くなります。こうした場合、悪習癖を止めたら歯ならびが自然に治ることがあります。
しかし、自分自身で気をつけて悪習癖を止めることは困難です。
そこで悪習癖を止めるための装置として開発されたのがプレオルソです。プレオルソは、成長期の子どもを対象としたマウスピース型矯正装置で、上下顎の位置関係のアンバランスや唇・舌の悪習癖(唇を巻き込む、いつも口が開いている、舌突出癖など)の改善を目的に使用されます。唇が歯を内側に押し込む力を防止して、舌を正しいポジションに矯正する構造になっています。日中や就寝中に装着し、取り外し可能で痛みが少ないのが特徴です。
プレ(前)オルソ(矯正治療)という名前の通り、ワイヤー矯正やマウスピース矯正のように歯を直接動かして並べる装置ではありません。悪習癖を取り除いて口周りの筋肉を整えることを目的とします。悪習癖がなくなると副作用として歯列や噛み合わせ整う効果がありますが、すべての症例や年齢に適応できるわけではありません。
プレオルソの効果
1)口腔悪習癖を改善できる
プレオルソは、子どもに多い「口呼吸」「指しゃぶり」「舌突出癖」などの口腔悪習癖を改善する効果が期待できる装置です。これらの習癖は歯並びの悪化だけでなく、顎や顔貌の発育にも影響します。
プレオルソは自然と鼻呼吸を促し、舌の正しい位置を覚えさせる設計になっています。これにより、普段の無意識の癖を改善し、呼吸や嚥下、発音などの基本的な口腔機能が正しく使われるようになります。特に成長期の子どもにとっては、早い段階で悪習癖を修正することが重要であり、将来的な矯正治療の負担軽減にもつながります。
2)歯並びの悪化を予防できる
歯列不正の多くは、遺伝的な要素に加えて、口周り筋肉の働きアンバランスや悪習癖が原因で進行します。
プレオルソは、こうした筋機能の乱れを整えることで、歯列や咬み合わせの自然な成長を助け、歯並びの悪化を予防します。特に永久歯が生え始める時期にプレオルソを活用することで、歯がきれいに並ぶスペースを確保し、乱れた歯の位置を改善する土台を作ることができます。
また、固定式のワイヤー矯正と比べると負担が少なく、取り外し可能なので、日常生活への影響が少ない点も大きな魅力です。
予防的なアプローチとして活用することで、将来的に本格的な矯正治療が必要になるリスクを減らせる点もメリットです。
3)口周りの機能改善につながる
プレオルソは単に歯並びを整えるだけでなく、口周りの筋肉や機能の改善にもつながる治療法です。
装置を装着することで、口唇閉鎖力や舌圧、頬筋のバランスが整い、正しい嚥下や発音、表情筋の発達を促します。これにより、口呼吸が改善されるだけでなく、顔全体の筋肉の協調性が向上し、審美的にも健康的な口元を育てることができます。
特に、成長期における機能改善は、将来の顎の発達や顔貌形成に大きな影響を与えるため、早期介入が非常に重要です。機能が正しく発達することで、健康的な咀嚼や呼吸、発音が可能になり、全身の健康にも良い影響を及ぼします。
プレオルソのメリット
1)簡単に取り外せる
プレオルソはマウスピース型の矯正装置で、子ども自身が簡単に取り外すことができるのが大きなメリットです。
従来のワイヤー矯正のように固定式ではないため、食事や歯磨きの際に外すことができ、口腔内を清潔に保ちやすい点が特徴です。また、清掃性が高いため虫歯や歯周病のリスクも低減できます。
取り外しができることで、子ども自身も「管理している」という意識が芽生え、矯正治療へのモチベーション維持にもつながります。保護者の立場からも、子どもの負担を軽減できる点は大きな魅力です。
2)痛みが少ない
プレオルソはポリウレタン素材で作られています。ポリウレタン素材は柔らかいので装着時の痛みや違和感が少ないことが大きなメリットです。
ワイヤー矯正では歯を一本ずつ動かすため痛みを伴うことが多いですが、プレオルソは主に顎の骨格や筋機能を改善する目的で使用されるため、力が緩やかにかかり、痛みが最小限に抑えられます。
子どもにとって「痛い」という印象が少ないことは、治療の継続率を高めるうえでも重要です。また、歯や歯茎への刺激も少ないため、口内炎のリスクも低いとされています。
3)装着時間が短い
プレオルソの使用時間は、基本的に日中1〜2時間と就寝時のみで済む点も大きな利点です。長時間にわたって装置を装着する必要がある従来の矯正装置と比べて、日常生活に与える影響が少なく、子どもでも無理なく取り組むことができます。
学校や習い事など、日中の活動中は外すことができるため、見た目の心配や発音のしづらさを感じることもありません。
この短い装着時間でも、成長期の顎の誘導や口呼吸、舌癖の改善に効果が期待できます。特に、生活リズムや性格に合わせて無理なく進められる点は、保護者にとっても安心材料となります。
プレオルソのデメリット
1)適応できない症例がある
プレオルソは子どもの骨の成長を利用して歯列や顎の位置を改善するマウスピース型矯正装置ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。特に骨格的な問題が大きいケースや重度の叢生(歯のデコボコ)、過度な上顎前突・下顎前突などは、プレオルソだけでは十分な改善が見込めないとされています。
また、ほとんどの歯が永久歯に生え変わったり、生え変わり間近の年齢では、プレオルソによる顎の成長誘導効果が期待できません。
2)細かな歯並びの調整は難しい
プレオルソは顎のバランス改善や口腔周囲筋の訓練を目的としていて、結果的に歯ならびが改善することがあります。例えば前歯の軽度な傾斜改善です。
ワイヤー矯正のように歯を直接動かす装置ではないので、プレオルソだけではキレイな歯並びにならず、ワイヤー矯正を使う場面も多いです。プレオルソはワイヤー矯正の補助装置として認識してください。
3)効果に個人差がある
プレオルソの効果は、装置の使用時間や正しい装着方法を守れるかどうかに大きく左右されます。特に子ども自身が積極的に装着を継続できるかどうかが結果に直結するため、モチベーションの維持や保護者の協力が欠かせません。
また、口呼吸の改善や舌癖の矯正効果も含まれていますが、これらの習癖が強い子どもでは期待した効果が得られない場合があります。
さらに、成長スピードや顎の発育状況には個人差が大きく、一律に同じような結果を保証できないという点もデメリットです。
効果の出方が人によって異なるため、治療の進行状況を丁寧にフォローし、場合によっては治療方針の変更を検討する必要があります。
プレオルソの費用・期間
プレオルソを用いた矯正治療の費用は、医院によって異なりますが、おおよそ5万円〜20万円程度が一般的です。これは固定式ワイヤー矯正と比べると比較的安価で、経済的負担が少ない点が大きな特徴です。
治療期間は主に成長期のお子さまに使用されるため、平均して1年から2年ほどかかりますが、個々の歯並びの状態や口腔機能の改善度合いにより変わります。
装着は日中1〜2時間と就寝時のみで済むため、通学や日常生活への支障も少なく続けやすいのがメリットです。
さらに、定期的なチェックや調整も必要ですが、全体として無理なく進められる治療法です。
プレオルソの効果が期待できるケース
プレオルソは主に小児期に適したマウスピース型矯正装置で、成長期の子どもの顎の成長を利用しながら歯並びや噛み合わせを改善します。特に、口呼吸や舌癖、指しゃぶりなどの口腔悪習癖がある場合に有効で、これらの習癖を改善しながら歯列の乱れを予防・改善できます。
前歯の軽度な出っ歯や、叢生(歯のがたつき)が軽いケース、反対咬合(受け口)の早期改善にも効果が期待されます。
また、取り外し式で痛みが少なく、日中の短時間装着でも進められるため、子どもが無理なく続けられるのも大きなメリットです。
プレオルソの効果が期待できないケース
プレオルソはすべての不正咬合に対応できるわけではありません。重度の叢生や、歯列の幅が著しく不足しているケース、骨格性の問題が強い反対咬合などは効果が限定的です。
特に、成長期を過ぎた中高生や成人では、顎の成長を利用できないため、骨格的な改善が必要な場合にはワイヤー矯正や外科的治療が検討されます。また、装着時間や習癖改善への協力度が低いと十分な効果が得られません。
歯を大きく移動する必要がある複雑なケースでは、他の矯正方法との併用が必要になることもあります。
プレオルソで子どもの歯列矯正を検討されている方は、
神戸市須磨区の のぶ歯科・歯ならび歯科にご相談ください
のぶ歯科・歯ならび歯科は16000人以上の歯がボロボロの大人を診てきたからこそ、将来を見据えた小児矯正が大切であると考えています。
プレオルソによる子どもの歯列矯正をお考えの方は、神戸市須磨区にある「のぶ歯科・歯ならび歯科」へぜひご相談ください。
当院では、歯並びや噛み合わせに関するお悩みをじっくりお聞きし、お子さま一人ひとりに合った治療プランをご提案します。また、矯正治療に関する不安や疑問を解消するために、参加無料の矯正相談会も定期的に開催しています。
プレオルソが適しているかどうか、他の治療法との比較なども詳しくご説明しますので、まずはお気軽にお問合せください。お子さまの健やかな成長と美しい歯並びをサポートいたします。
小児矯正ページはこちら