丸橋が歯科医師になった理由

正直に書きます。

引かないでくださいね 笑

歯科医師の先生は一つの事例として、

高校生の御子息をお持ちの方は、進路を決めたリアルな読み物として読んでいただけたら幸いです。参考になるか分かりませんが。

やや長文です。

24時間戦えません

丸橋が高校生時代を過ごしたのは平成バブルの真っ只中。

「24時間戦えますか?」のキャッチフレーズで有名だったリゲインのCMがバンバン流れていた時代です。

島耕作シリーズの初代もこの時代でした。

花形の職業は証券マンと銀行員。

テレビドラマの主人公は大抵どっちかに勤務している設定でした。

一方、理系は人気がなかったです。

最高難易度の医学部ですら、今と比べると随分ゆるかったです。

さて、丸橋はどうだったかというと、高校生ながらにして自分がこの世界で生き残るのは無理だと思いました。

真夏にスーツを着て外回り
満員電車で出社
早朝出社&深夜帰宅
嫉妬にまみれた社内政治
優秀な人との競争に勝って、耐えに耐えて、運良く年収1000万円

テレビやマンガできらびやかな世界を見ながらも、現実の世界を想像すると自分にはとてもできないと思いました。

サラリーマンより独立!独立するなら医療系!医療系なら医者!

家系には医者、事業主、サラリーマンが混在してました。

中には昭和一桁生まれのモーレツサラリーマンもいました。

全員を眺めていると「サラリーマンよりも独立したほうがいいな」と思うようになりました。

サラリーマンがダメではなく、独立組の方が自由で豊かで、何より人生の選択肢が多そうに見えたのです。



で、独立前提で進路を考えるようになったのですが、ネットもなく情報にアクセスしにくい時代だったので、自ずと自分が知っている職業の中から選択しました。

高校生が知っている職業なんかたかが知れてます。

街にはクリニックが沢山あります。

ということは、医療系は独立しやすいのでは?と考え、「んじゃ、医療系。目指すならやっぱり医者だな」と単純に決めました。

父親の収入を知ってしまった

医者を目指すと言っても、最高峰学部です。

そう甘くありません。

丸橋の偏差値(大体60強)だと私立が妥当でした。

国立なら日本の端っこの大学でも厳しいです。

学費は6年間でウン千万円の差があります。

「どうしたものか⋯」と考えている時、父親の収入を知ってしまいました。



丸橋の父親は開業歯科医師です。

院長一人とパートスタッフ数人の昔からある小さな歯科医院です。

コロナ禍で引退しましたが49年間毎日診療を続けてました。

ある日、机に置いてあった父親の確定申告を見てしまったんですね。

すると、そこに書いてある数字にビックリしました。

年収1000万円なんか可愛くみえる数字が書いてあったのです。

もちろん、その金額から医院に必要なお金が出ていくので、全てが自分のお金ではありません。

でも、高校生の時はそんなこと理解できないので「歯科医師って凄いんじゃない?夢あるわ!」と

「俺、歯医者になる」

急に言い出しました。

歯学部なら国立に行ける偏差値はあったので学費も安くなる。

学費が安いので「車くらい買ってもらえるかも⋯」という下心もありました 😊

意外な反応

というわけで、晴れて国立歯学部に合格しました。

両親とも喜んでくれたのですが同時に「本当に行くのか?」という反応も見せました。

父親が卒業したのは、大阪歯科大学という老舗私立大学です。

父親からしたら同じ大学に行ってほしかったのでしょう。

まさか合格してから説得するとは思いもよりませんでした。

後で気づいたことですが、歯科の世界は非常に狭く、同窓のつながりが強いです。

私立大学は特にその傾向が強く、大阪歯科大学ともなれば4世レベルまで輩出してます。

卒業生の数が桁外れに多いので、そうした繋がりは今後役に立つという思いが父親にはあったのでしょう。

でも、高校生時点ではさすがに理解できなかったです。

丸橋が国立にこだわった理由は、2歳下の弟がいたからです。

仮に二人とも私立に行った場合、父親は二人分の学費くらい出せると言ってくれましたが、安くはありません。

もし丸橋が私立に行って父親が病気で仕事できなくなった場合、弟が私立に行くとさすがにキツいです。

場合によっては「私立はやめてくれ」なんてこともあります。

「生まれた順で選択肢が決まるのはおかしいだろう」と考え、少なくともお金の問題で弟の選択肢が狭まるのは避けたかったので、丸橋は国立に行くことにこだわりました(恩着せがましいので当時は黙ってました。もう時効だから言っちゃいます)。

今思うと奨学金もあるので何とかなるのですが、なにせ高校生ですからそこまで気が回りませんでした。

でも、丸橋が国立に入学すると父親は学費の安さに驚いて、弟に「国立行かんか?」と言ってました 笑

独立後

父親は大病することなく79歳で引退、今は毎日楽しんでます。

弟も歯科医師になって独立してます。

男3人同じ仕事に就いて、それぞれが独立しました。

父親の医院を継承する選択肢もありましたし、兄弟二人で医院を持つ選択肢もありました。

この辺りは意見が分かれますが、丸橋は一緒に仕事するのを避けました。

人は距離が近すぎると甘えが出て、それが原因で関係が壊れることがあります。

一方、同じ立場だからこそ話せる話、わかる話もあります。

全員が独立して普段は離れているけど、何かあった時は連絡を取れる。

このくらいの距離感が一番良いと考えました。

結果、仲良くなったので良かったです。

どんな仕事にも良い面と悪い面があります。

少なくとも、歯科医師という仕事が大嫌いでない限りは、歯科医師は個人の自由と豊かさを叶えてくれる良い仕事だと思ってます。